新連載 画像から読み解く感染症(1)
I 中枢神経 1.脳膿瘍(Brain abscess)
中島一彰
1
Nakashima Kazuaki
1
1静岡県立静岡がんセンター生理検査科
pp.5-12
発行日 2015年6月25日
Published Date 2015/6/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201507005
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脳膿瘍は,微生物(おもに細菌)の脳実質への感染によって脳組織の破壊産物と炎症性物質からなる膿が貯留した状態である。画像診断の進歩により死亡率は低下したものの,早期診断し治療を行うことが求められる。MRIは脳腫瘍診断に必須の検査であり,病理経過を反映した所見を呈するが,初期の脳実質炎の時期がとらえられることは少なく,通常は被膜が形成された状態の画像を認めることが多い。造影MRIでリング状に増強される腫瘤を認め,さらに腫瘤の内部が拡散強調像で高信号を呈することが特徴的で(上図),多くの場合,脳腫瘍など他疾患との鑑別が可能である。本稿では細菌性の脳膿瘍について知っておくべき画像所見を中心に述べる。