臨時増刊特集 臨床医のためのCTスキャン
炎症性疾患(頭蓋内)
脳膿瘍(cerebral abscess)
pp.2104-2106
発行日 1981年11月20日
Published Date 1981/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217455
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脳膿瘍8)は化膿性細菌による限局性病変で,化膿性髄膜炎と同様の感染経路をとるが,とくに中耳感染症からの直接波及によるものは側頭葉に好発し,側静脈洞の血栓性静脈炎は小脳の膿瘍を生じやすい.また先天性心疾患,心内膜炎や気管支拡張症などに見られる血行性感染の場合は,しばしば多発性で灰白質白質接合部(corticomedullaryjunction)に好発する傾向がある.膿瘍が完成すると最内層(肉芽組織層),中層(膠原質,線維層),外層(反応性神経膠組織層)の3層の被膜を有し,内部に膿を貯留する.
CTの所見はきわめて特異的で,造影前には例外なく結節状の低吸収値陰影を示し,場合によっては被膜部が淡い高吸収値環を呈する.造影後には被膜部にそって環状の増強効果が生じ,この環状像は辺縁が平滑で均等な厚さを示し,脳膿瘍被膜の完成にともなって薄くなる傾向が見られる.また著明な浮腫による低吸収域を周囲に伴うのも特徴的で,さらに約30〜40%のものは主病巣に娘膿瘍(daughter abscess)を伴う多房性を示し,稀には多発性のこともある(図8,9).
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