連載 エイズに見られる感染症と悪性腫瘍(15)
カポジ肉腫
加藤博史
1
,
味澤篤
2
Kato Hirofumi
1
,
Ajisawa Atsushi
2
1国立感染症研究所感染症疫学センター実地疫学専門家養成コース
2東京都保健医療公社豊島病院 副院長
pp.4-10
発行日 2014年12月25日
Published Date 2014/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201501004
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カポジ肉腫(Kaposi's sarcoma:KS)はヒトヘルペスウイルス8(human herpes virus-8:HHV-8)によって引き起こされる低悪性度の血管肉腫である。カポジ肉腫はAIDS指標疾患のひとつであり,皮膚にもっとも多く発症する。他の悪性腫瘍とは違い,カポジ肉腫病変のみが直接の死因となることは少ない。しかし,咽喉頭部や肺など気道に関連した部位では予後不良となるため,注意が必要となる。治療については,軽症の場合は抗HIV療法のみ,その他の場合は抗HIV療法に加え,全身療法を行う。カポジ肉腫は比較的高頻度に免疫再構築症候群(IRIS)を起こすため,抗HIV療法開始後は注意深いフォローが必要となる。