トピックス
HHV-8とカポジ肉腫
奥野 寿臣
1
1兵庫医科大学細菌学教室
pp.308-310
発行日 2000年3月1日
Published Date 2000/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905329
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
カポジ肉腫(Kaposi's sarcoma;KS)はエイズ患者の15〜20%に発生する腫瘍で,感染性因子によって引き起こされることが指摘されていた.1994年,ChangらはPCR(polymerase chain reaction)を応用したrepresentational difference analysis法によってその因子のDNAを見つけた.すなわち,エイズ患者のKSの病変部位から抽出した全DNAを正常皮膚から抽出した過剰な量のDNAで差し引いて,KSに特異的に存在するDNA断片のみをPCRで増幅することによって2種類のDNA断片を得た1).その塩基配列は,ヘルペスウイルスサイミリ(herpesvirussaimili;HVS)やエプスタイン・バーウイルス(Epstein-Barr virus;EBV)のカプシド蛋白とテグメント蛋白のそれと高い相同性があった.当初,カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(Kaposi's sarcoma-associated herpesvirus;KSHV)と呼ばれていたが,KS以外の病変でそのウイルス粒子が見つかって,8番目のヒトヘルペスウイルスということからHHV-8(human herpesvirus-8)と名づけられた.
表1にこれまでに見つかっているヒトヘルペスウイルスを示した.
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.