Japanese
English
今月の症例
1.胃カポジ肉腫の1例
I. Kaposi's Sarcoma of the Stomach, Report of a Case
山田 義也
1
,
榊 信廣
1
,
門馬 久美子
1
,
吉田 操
2
Yoshiya Yamada
1
1東京都立駒込病院内科
2東京都立駒込病院外科
pp.604-605
発行日 1995年4月25日
Published Date 1995/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105395
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〔患者〕36歳,男性.同性愛者.1990年7月から全身倦怠感出現.9月から粘血便が出現し,他院で大腸内視鏡を施行し潰瘍性大腸炎と診断され,1991年1月上行結腸切除術を受けた.このとき,梅毒血清反応陽性,HIV抗体も陽性であったため,同年3月当院感染症科に転院となった.入院時,全身に疥癬の皮疹存在,硬口蓋に発赤を示す腫瘤を認めた.
〔胃内視鏡所見〕第1回目入院時,1991年4月に初回内視鏡検査を施行した.硬口蓋には暗赤色で約2cmの半球状の腫瘤が,数個集合していた(Fig. 1).生検組織からカポジ肉腫と診断された.そのとき,穹窿部前壁にangioectasia様の約2mmの発赤を認め(Fig. 2a),色素撤布(インジゴカルミン)による観察によると,その中央がやや陥凹しているように見えた(Fig. 2b).硬口蓋のカポジ肉腫は放射線照射で治療し,6か月後の第2回目の内視鏡施行時には,腫瘍の縮小をみた.一方,胃の所見では,前回angioectasia様の発赤のあった宥隆部前壁には,直径約1.5cm,山田Ⅱ型を呈し,まだらな発赤を有する隆起性病変を認めた.隆起の中央には陥凹がみられた(Fig. 3).そのほかに,胃体中部大彎にも,大きさ約1cmの類似した所見の隆起性病変を認めた(Fig. 4).
これらは,生検組織からすべてカポジ肉腫と診断された.
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