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特集 インフルエンザの最新知見 ~鳥,パンデミックと季節性インフルエンザ対策をどうするか~
9.インフルエンザ粘膜ワクチンの開発と実用化
Development of mucosal vaccine for influenza
長谷川秀樹
1
Hasegawa Hideki
1
1国立感染症研究所感染病理部 部長
キーワード:
インフルエンザ
,
粘膜免疫
,
分泌型IgA抗体
,
経鼻ワクチン
Keyword:
インフルエンザ
,
粘膜免疫
,
分泌型IgA抗体
,
経鼻ワクチン
pp.90-95
発行日 2014年11月25日
Published Date 2014/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201412090
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インフルエンザワクチンの最終目標は,インフルエンザウイルスの感染を阻止して,毎年冬に起こるインフルエンザの流行とパンデミックの発生を防ぐことである。しかし,現在使用されているインフルエンザワクチンは全身性の液性免疫を誘導するが,粘膜表面におけるインフルエンザウイルスの感染を阻止するものではない。インフルエンザウイルスの自然感染時には,粘膜免疫の主役である分泌型IgA(免疫グロブリンA)抗体が重要な働きをする。さらに,分泌型IgA抗体には変異ウイルスに対する交叉防御能がある。インフルエンザ粘膜ワクチンは粘膜免疫を誘導し,インフルエンザワクチンの目標を達成するための強力なツールになる。しかし,粘膜免疫,とりわけ呼吸器におけるその機能についてはまだ不明な点が多い。粘膜ワクチンもその臨床開発はまだこれからである。本稿では,次世代ワクチンとしての粘膜免疫誘導による経鼻インフルエンザワクチンの開発について概説する。