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特集 インフルエンザの最新知見 ~鳥,パンデミックと季節性インフルエンザ対策をどうするか~
8.季節性インフルエンザワクチンの現状と展望
Present and future seasonal influenza vaccines
喜田宏
1
Kida Hiroshi
1
1日本学士院 会員/北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 統括/北海道大学国際連携研究教育局 特任教授/世界動物衛生機関(OIE)鳥インフルエンザレファレンスラボラトリー長/世界保健機関(WHO)人獣共通感染症対策共同研究センター長
キーワード:
季節性インフルエンザワクチン
,
パンデミックインフルエンザ
,
全粒子ワクチン
,
HAワクチン
,
免疫力価
Keyword:
季節性インフルエンザワクチン
,
パンデミックインフルエンザ
,
全粒子ワクチン
,
HAワクチン
,
免疫力価
pp.84-89
発行日 2014年11月25日
Published Date 2014/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201412084
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わが国では,パンデミックインフルエンザワクチンを季節性インフルエンザワクチンと異なる製法で造る方針が執られているが,これは間違いである。パンデミックインフルエンザウイルスは次に季節性インフルエンザの流行を起こすからである。さらに,パンデミックインフルエンザの第二波,すなわち季節性インフルエンザウイルスのほうが個々の感染者に対する病原性が高いことも明白である。優れた季節性インフルエンザワクチンこそがパンデミックインフルエンザに対する備えとなる。わが国を含め,世界における現行の季節性インフルエンザワクチンは,ウイルスをエーテルまたは界面活性剤で分解したスプリットワクチン(わが国ではHAワクチンと呼ばれている)が主流である。HAワクチンは副反応(実は免疫応答)を除くことを主眼に免疫力価を犠牲にして開発されたものであり,40年以上,改良されることなく,多くのヒトに接種されてきた。季節性インフルエンザワクチンと生物学的製剤基準の抜本的改善は必須にして喫緊の課題である。