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特集 インフルエンザの最新知見 ~鳥,パンデミックと季節性インフルエンザ対策をどうするか~
序 -人獣共通感染症としてのインフルエンザをどのように克服するか-
How should we control influenza as a zoonosis?
喜田宏
1
Kida Hiroshi
1
1日本学士院 会員/北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター 統括/北海道大学国際連携研究教育局 特任教授/世界動物衛生機関(OIE)鳥インフルエンザレファレンスラボラトリー長/世界保健機関(WHO)人獣共通感染症対策共同研究センター長
キーワード:
鳥インフルエンザ
,
パンデミックインフルエンザ
,
季節性インフルエンザ
,
人獣共通感染症
Keyword:
鳥インフルエンザ
,
パンデミックインフルエンザ
,
季節性インフルエンザ
,
人獣共通感染症
pp.22-24
発行日 2014年11月25日
Published Date 2014/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201412022
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鳥インフルエンザが世界各地で家禽に感染被害を及ぼしている。鳥インフルエンザは家禽のインフルエンザウイルス感染症である。その対策の基本は,「感染家禽の早期摘発・淘汰により,被害を最小限にくい止めるとともに,ヒトの健康と食の安全を守る」ことである。また,紀元前から知られているインフルエンザに新型も旧型もない。「新型インフルエンザ」は,“Pandemic influenza”の誤訳にはじまる。人々のパンデミックインフルエンザに対する恐怖はウイルスのヒトにおける病原性と伝播性の混同が招いた錯覚に基づく。新たなHA(ヘマグルチニン)亜型のウイルスはヒト集団に免疫がないため,伝播性は高いが,個人に対する病原性は低いと考えるべきである。パンデミック第二波以後,すなわち,季節性インフルエンザを起こすウイルスのほうがヒトの体内でよく増殖するため,病原性が高い。パンデミックインフルエンザ対策の基盤は季節性インフルエンザ対策の改善・確立にある。わが国だけで年間数千~2万人の命を奪う季節性インフルエンザ対策を放置して,新型,新型と騒ぐだけではインフルエンザの克服は成らない。本特集は,鳥,パンデミック,そして季節性インフルエンザについて,歴史的事実と情報を整理して,人獣共通感染症としてのインフルエンザといかに向き合うべきかを提示するために企画された。