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特集 忘れてはいけない人獣共通感染症
1.人獣共通感染症の現状と課題
Current situation and challenges of zoonotic diseases
山田章雄
1
Yamada Akio
1
1東京大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻 教授
キーワード:
人獣共通感染症
,
新興感染症
,
顧みられない熱帯病
,
プライオリタイゼーション
Keyword:
人獣共通感染症
,
新興感染症
,
顧みられない熱帯病
,
プライオリタイゼーション
pp.22-26
発行日 2017年2月25日
Published Date 2017/2/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201703022
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人獣共通感染症はヒトの感染症のおよそ60%を占めており,その疾患数は200以上に及ぶ。それらの疾患は日和見感染症からきわめて致死率の高い感染症まで多様である。ヒトの生活様式の変化にともなう免疫の低下したヒトポピュレーションにおけるコンパニオン動物からの感染症,国際的に流通する食品に由来する人獣共通感染症の問題に加え,新興感染症や顧みられない熱帯病(NTD)の多くのように国際的対応が急がれる感染症など,人獣共通感染症はきわめて多様であり,その対応は決して容易ではない。しかもこの多様な感染症に対峙するとき,適切なプライオリタイゼーション,すなわち優先順位の決定がはなはだ重要となるが,現実には透明性をもった科学的な,かつ平等原理に根差したプライオリティの決定は遅れている。利害関係者まで巻き込んだ包括的な対応が不可欠である。