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特集 感染症ワクチンの現状と将来
4.新たなインフルエンザウイルスの出現と季節性インフルエンザワクチン
Emergence of pandemic influenza virus and seasonal influenza vaccine
喜田宏
1
Kida Hiroshi
1
1日本学士院会員/北海道大学ユニバーシティプロフェッサー/人獣共通感染症リサーチセンター特別招聘教授・統括/世界動物衛生機関(OIE)鳥インフルエンザレファレンスラボラトリー長/世界保健機関(WHO)指定人獣共通感染症対策研究協力センター長
キーワード:
鳥インフルエンザ
,
パンデミックインフルエンザ
,
季節性インフルエンザワクチン
Keyword:
鳥インフルエンザ
,
パンデミックインフルエンザ
,
季節性インフルエンザワクチン
pp.57-64
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201606057
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人類は過去100年間に,新たなインフルエンザウイルスによる世界流行(パンデミック)を4度経験した。パンデミックウイルスは季節性インフルエンザウイルスと鳥由来のウイルスに同時感染したブタの呼吸器で産生された遺伝子再集合体であり,そのHA(ヘマグルチニン)遺伝子はカモのウイルスに由来する。新たなHA亜型のウイルスはヒト集団に免疫がないため,またたく間に世界に広がる。すなわち伝播性は高い。一方,病原性は季節性インフルエンザウイルスよりはるかに低い。わが国における現行の季節性インフルエンザワクチンは,副反応(実は免疫応答)を除くことを主眼に,免疫力価を犠牲にして開発されたスプリットワクチン(わが国ではHAワクチンと呼称)である。パンデミックワクチン製造シードウイルス株ライブラリーの充実と季節性インフルエンザワクチンの抜本的免疫力価の強化が,パンデミックインフルエンザ対策の要である。