連載 エイズに見られる感染症と悪性腫瘍(11)
非結核性抗酸菌症
青木孝弘
1
Aoki Takahiro
1
1独立行政法人国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター
pp.4-10
発行日 2014年8月25日
Published Date 2014/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201409004
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HIV感染者における非結核性抗酸菌症の大半を占めるMycobacterium avium complex(MAC)感染症は,CD4値が50/μL以下の高度免疫不全状態となると,腸管からの血流感染により全身に播種性病変を生じる。非HIV患者では一般的に経気道感染により肺に病変を生じるため,HIV患者と非HIV患者でまったく異なる病態を生じる感染症であ。1996年頃からHIV感染症の治療として多剤併用療法(ART)が導入されたことに加え,CD4低値のHIV患者におけるアジスロマイシンの予防内服も普及したため,HIV合併播種性MAC症は減少傾向となった。しかし,免疫再構築症候群(IRIS)により,一旦本症を発症すると治療に難渋することが多く,治療期間も1年以上に及ぶことがあるため注意を要する疾患である。