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特集 わが国でも問題のベクター媒介性感染症
8.日本紅斑熱の発生状況と媒介マダニから見えてくる感染環
Transmission dynamics of Japanese spotted fever, diversified by distributional patterns of cases and vector ticks
髙田伸弘
1
Takada Nobuhiro
1
1福井大学 特別研究員
キーワード:
日本紅斑熱
,
紅斑熱群
,
マダニ
,
感染環
Keyword:
日本紅斑熱
,
紅斑熱群
,
マダニ
,
感染環
pp.89-96
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201402089
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わが国のマダニ媒介感染症としてもっとも届出数の多い日本紅斑熱について,1980年代から新興感染症解明の先駆けとして症例が発掘され,まもなく病原リケッチア(Rickettsia japonica)も確定され,次いでマダニがそのベクターであることの証明まで至った経緯を述べる。その上で,南西日本を中心とした各地域での症例発生の現況を示し,その中に見える発生要因,特に地理・気象的な環境条件や動物相(マダニ分布相につながる)に左右されて,感染が集中したり,隔離が起こったり,ときに住み分けまでみられる多様な姿を紹介した。そのような複雑な発生相をもたらす感染環には日本紅斑熱リケッチアだけにとどまらず紅斑熱群として多様な菌種(型)がかかわっており,なかにはアジアから欧米に至るまで共通するものも少なくないことを指摘した。