Japanese
English
特集 わが国でも問題のベクター媒介性感染症
序 -ベクター媒介性感染症の現状と対策に関する問題点-
Present status of vector-borne infectious diseases in Japan and a serious problem in preventive measures
小林睦生
1
Kobayashi Mutsuo
1
1国立感染症研究所 名誉所員
キーワード:
ウエストナイル熱
,
チクングニア
,
デング
,
分布域拡大
,
ウイルス感染環
Keyword:
ウエストナイル熱
,
チクングニア
,
デング
,
分布域拡大
,
ウイルス感染環
pp.22-25
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201402022
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
ベクター媒介性感染症,特に,ウエストナイル熱,チクングニアなどの蚊媒介性のウイルス感染症は患者数が年ごとに大きく増減している。デングは毎年のように東南アジアを中心に世界的な流行が起こっている。一方,2004年にケニア東部で始まったチクングニアの流行は,インド洋島嶼国,インド,スリランカなどに広がった。ケニア東部で起こった大干ばつが原因で,住民はあらゆる容器に雨水を溜め,そこにネッタイシマカが大量に発生し,流行したと言われている。ヒトスジシマカのみが分布するインド洋島嶼国では新たなウイルスの侵入により遺伝子変異が起こり,ヒトスジシマカ体内での増殖活性が約100倍上昇した。わが国の都市部ではヒトスジシマカの生息密度は相当高く,流行が起こる可能性は否定できない。媒介昆虫と病原体との関係は刻々と変化しており,突発したベクター媒介性感染症の流行につながる。本特集において,種々の角度からベクターと感染症の問題を提起する。