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連載 私達の研究(129)
ピロリ菌感染におけるvacuolating cytotoxin(VacA)の役割に関する研究
Studies on a substantial role of vacuolating cytotoxin(VacA)in Helicobacter pylori infection
平山壽哉
1
,
中野政之
2
Hirayama Toshiya
1
,
Nakano Masayuki
2
1長崎大学熱帯医学研究所細菌学分野 教授
2長崎大学熱帯医学研究所細菌学分野 助教
キーワード:
Vacuolating cytotoxin(VacA),Helicobacter pylori(ピロリ菌)
,
VacA毒素受容体,細菌毒素の役割
Keyword:
Vacuolating cytotoxin(VacA),Helicobacter pylori(ピロリ菌)
,
VacA毒素受容体,細菌毒素の役割
pp.117-123
発行日 2013年11月25日
Published Date 2013/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201312117
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私たちは胃ガンや胃潰瘍の原因であるピロリ菌感染を毒素病態学的に理解することを目指している。すなわち,vacuolating cytotoxin(VacA)は空胞変性やオートファジーとアポトーシスの誘導など多様な生物活性を示し,ピロリ菌感染症による上記疾患の発症に重要な役割を担っていると考えられる。こうしたVacAの病原性発現には少なくとも3種の膜タンパクへの結合とその応答伝達が必須である。ピロリ菌除菌は胃疾患のリスクが軽減するばかりでなく,慢性蕁麻疹,鉄欠乏性貧血,特発性血小板減少性紫斑病などの全身性疾患の改善にもかかわっている。VacAは発がん因子CagAの機能にも影響することから,他の病原因子とともにVacAの役割究明がピロリ菌感染症を理解するためには重要であると考えている。