Japanese
English
特集 生体防御能の異常・免疫障害で見られる感染症の特徴とメカニズム
3.高IgE症候群に見られる易感染性
Susceptibility to infections in hyper-IgE syndrome
峯岸克行
1
Minegishi Yoshiyuki
1
1徳島大学疾患プロテオゲノム研究センター病態プロテオゲノム分野 教授
キーワード:
STAT3
,
黄色ブドウ球菌
,
アスペルギルス
,
カンジダ
,
帯状疱疹
Keyword:
STAT3
,
黄色ブドウ球菌
,
アスペルギルス
,
カンジダ
,
帯状疱疹
pp.37-42
発行日 2013年11月25日
Published Date 2013/11/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201312037
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
原発性免疫不全症は,先天性の遺伝子異常が原因で免疫機能が低下し,各種感染症に対する易感染性を呈する疾患である。高IgE(免疫グロブリンE)症候群はその主要疾患のひとつで,黄色ブドウ球菌による皮膚膿瘍,肺炎と,その後の肺嚢胞の形成をおもな感染症状とする。1966年に第一例が発見されたが,このときはブドウ球菌感染による多発性の寒冷膿瘍が旧約聖書のヨブ記の記載に類似することから,ヨブ(Job)症候群と命名された1)。その後,本症候群に著しい高IgE血症が合併することをBackleyらが見出し,そのため高IgE症候群と呼ばれるようになった2)。さらにその後,Glimbacherらにより,高IgE症候群においては免疫系だけではなく,骨・歯牙・結合組織の異常を合併することが明らかになった3)。その原因は長いあいだ不明であったが,最近になってSTAT3のドミナントネガティブ変異がその主要な原因であることが明らかになった4)。現在,その病態解明と新規の治療法の開発が進められている。