Japanese
English
特集 HIV感染症の長期的治療戦略
7.ARTでHIV感染者の予後はどこまで改善できるか
A consideration of the effect of early antiretoroviral treatment on the prognosis of HIV infection
鎌倉光宏
1
Kamakura Mitsuhiro
1
1慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科 教授・慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室/感染制御センター・慶應義塾大学看護医療学部
キーワード:
Antiretoroviral treatment(ART)
,
Early HIV infection(EHI)
,
Treatment as prevention
Keyword:
Antiretoroviral treatment(ART)
,
Early HIV infection(EHI)
,
Treatment as prevention
pp.81-86
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201309081
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1990年代半ば,プロテアーゼ阻害剤が開発されたことによりHIV治療に対する多剤併用療法(ART)の効果が顕著になり,潜伏期間が延長し,AIDS発病後の生存率も大幅に改善した。なかでも,ARTが感染後6カ月以内の感染初期症例に適用された場合,感染者の免疫能の維持・向上およびウイルス量の抑制に大きな効果があることが,数多くのエビデンスレベルの高い研究方法によって確認されている。さらに2011年には,HPTN(HIV Prevention Trials Network)052試験により,感染状況が一致しないカップルにおいて,そのHIV感染者に対する早期からの抗HIV療法が非感染パートナーへの二次感染を大幅に減少させる効果があるという無作為化比較対照試験結果も出された。今後はHIV感染の超早期発見法の開発と検査へのアクセスの工夫,患者および医療従事者双方の感染初期症例の臨床的および予防医学上の重要性の再認識が必要であると考えられ,HIV感染拡大に歯止めをかけ,感染者のQOL(quality of life)を向上させる具体的かつ効率的な社会の支援が求められている。