Japanese
English
特集 HIV感染症の長期的治療戦略
2.治療開始時期の早期化に向けて
When to initiate combination antiretroviral therapy -recent trend of early treatment-
照屋勝治
1
Teruya Katsuji
1
1国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター 病棟医長
キーワード:
Hit HIV early and hard
,
Treatment as prevention
,
ARTの長期毒性
Keyword:
Hit HIV early and hard
,
Treatment as prevention
,
ARTの長期毒性
pp.36-43
発行日 2013年8月25日
Published Date 2013/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201309036
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HIV感染者であっても免疫力(CD4数)がある程度まで低下しなければ日和見疾患の発症リスクはほとんどない。そのため,2000年以前までCD4<500/μLで導入されていた抗ウイルス療法(ART)は,2000年代からは多くの専門家がCD4数が350/μL未満になるまで遅らせてからの治療開始を推奨するようになっていた。しかし,最近になってHIV感染症の死因として虚血性心疾患の重要性が指摘されるようになり,ARTをより早期に導入することで虚血性心疾患等による全死亡が減少するという報告が出てくるようになってから治療開始の考え方が大きく見直されるようになった。米国DHHS(保健福祉省)の治療ガイドラインは次第に,「より早期からの治療開始」へ推奨がシフトしてきており,2012年3月には「感染者全員の治療を推奨」している。しかしながら,早期ART導入には「長期的副作用の懸念」というマイナス面もあるため,治療開始に際しては患者の年齢や基礎疾患などを勘案しながら症例ごとに判断していく必要があることには変わりはない。