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特集2 ESCMID(欧州臨床微生物学会)カンジダガイドライン2012 -米国感染症学会ガイドラインとの相違-
1.ESCMID(欧州臨床微生物学会)カンジダガイドライン2012 2)非好中球減少症成人患者
Non-neutropenic adult patients
浜田幸宏
1
,
平井潤
2
,
山岸由佳
3
,
三鴨廣繁
4
Hamada Yukihiro
1
,
Hirai Jun
2
,
Yamagishi Yuka
3
,
Mikamo Hiroshige
4
1愛知医科大学病院感染制御部 室長
2愛知医科大学病院感染制御部・感染症科
3愛知医科大学病院感染制御部・感染症科 准教授
4愛知医科大学病院感染制御部・感染症科/愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学 主任教授
キーワード:
非好中球減少症
,
侵襲性カンジダ症
,
カンジダ血症
,
エビデンス
Keyword:
非好中球減少症
,
侵襲性カンジダ症
,
カンジダ血症
,
エビデンス
pp.114-121
発行日 2013年6月25日
Published Date 2013/6/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201307114
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2009年に米国感染症学会(IDSA)から2004年の改訂版として「カンジダ症治療の実践的臨床ガイドライン2009」が公表され,2012年には欧州臨床微生物学会(ESCMID)から「カンジダ症の診断と治療に関するESCMIDガイドライン2012」が発表された。両ガイドラインで大きく異なる点は,エビデンスの評価方法,エンピリック治療と治療薬の考え方,さらにカテーテル関連感染に関する抗真菌薬の考え方である。IDSAガイドライン2009の経験的治療は,侵襲性カンジダ症のリスク因子を有する重症患者でカンジダ症以外に明らかな原因がない発熱を認める場合と記載され,カンジダ症確定診断例に対する治療と同様に初期治療としてFLCZ(フルコナゾール)またはキャンディン系薬を推奨している。具体的には,重症度による区分がなされ,アゾール系薬の投与歴があり,中等症ないし重症例やCandida glabrata,Candida kruseiにはキャンディン系薬が推奨されている。ESCMIDガイドライン2012のエンピリック治療では発熱に応じたアプローチとして記載され,キャンディン系薬が推奨されている。特記すべきことはFLCZの位置づけが異なり,IDSAガイドライン2009では初期治療で軽症であればFLCZを支持しているが,ESCMIDガイドライン2012ではCandida parapsilosisの場合を除きFLCZがほとんど推奨されていない点などである。本稿では,非好中球減少症患者に対する侵襲性カンジダ症治療を,ESCMIDガイドライン2012およびIDSAガイドライン2009の両ガイドラインを比較しながら解説する。