連載・臨床薬学のための病態生理(12) 各論 各種病態と薬物療法のターゲット
1.精神・神経系疾患 双極性障害
長田賢一
1
,
渡邊高志
2
,
芳賀俊明
2
1聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室准教授
2聖マリアンナ医科大学神経精神科学教室
pp.825-829
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201903825
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「うつ状態」と呼ばれる,気分が低下した状態が続く病気をうつ病という。双極性障害は,「躁状態」と呼ばれる気分が高ぶった時と,「うつ状態」と呼ばれる気分が低下した時が,交代して起こる病気である。双極性障害を分類する際,躁状態がある場合を双極Ⅰ型,躁状態はなく軽躁状態までの場合を双極Ⅱ型と分けている。双極性障害自体が,躁状態か,うつ状態のどちらで始まるかの割合は,およそ半々である。この病気が発症する年齢は30歳くらいが平均的だが,中学生から高齢者までさまざまな年齢で発症する1)。現代の医学において,双極性障害を含めた精神科疾患の診断は,症状から診断する操作的診断が主流で,双極性障害の病態メカニズムについてはさまざまな仮説が唱えられ研究されている。治療は薬物療法が中心だが,病態が不明なため治療メカニズムも不明なところが多い。