特集 喘息治療における分子標的治療
6.将来薬 ~非2型炎症を標的とした分子標的薬開発の現況~
中込一之
1
1埼玉医科大学呼吸器内科・アレルギーセンター・准教授
pp.2445-2450
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112445
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重症喘息における非2型炎症として重要なのは好中球性炎症であり,近年,好中球性喘息に対する生物学的製剤が開発されている。標的は,好中球の接着や組織浸潤に関与するtumour necrosis factor(TNF)- αや,好中球遊走因子interleukin(IL)-8の産生を誘導するIL-17,さらに上流にあるIL-23であるが(可溶性TNF- α受容体,抗IL-17抗体,抗IL-17受容体抗体,抗IL-23抗体など),重症喘息全体に対するこれらの効果は,現在のところ限定的であり,効果をよく発揮するエンドタイプの解析が待たれる。一方で,機序からは2型炎症に効果があるが,非2型炎症にも効果があることが期待されている生物学的製剤として,抗thymic stromal lymphopoietin(TSLP)抗体があり,非2型炎症に対する実際の臨床応用により近い可能性がある。