特集 喘息治療における分子標的治療
5.併存症 1)好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の治療,特に抗IL-5(メポリズマブ)治療の意義
谷口正実
1
,
濱田祐斗
2
,
中村祐人
2
,
上出庸介
2
,
関谷潔史
2
1独立行政法人 国立病院機構相模原病院臨床研究センター 臨床研究センター長
2独立行政法人 国立病院機構相模原病院臨床研究センター
pp.2429-2436
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018112429
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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は重症喘息の約3%に合併し(自験成績),通院治療中の中年以降の喘息患者の約0.6%に認める1)。好酸球性副鼻腔炎と重症喘息が先行し,著明な好酸球増多と全身の虚血症状で発症する。発症要因は不明であるが,一部ではワクチンとの関連が疑われている2)。同じく気道外症状と強度の好酸球性気道炎症を呈する,アスピリン喘息との鑑別に注意する3)。予後不良化させないためには,病理学的所見が得られなくても早期診断・治療を開始し,予後不良因子である心障害に注意を払う。ステロイドとシクロホスファミドの併用が治療の基本である2)~5)。追加治療薬として,末梢神経障害や心障害には免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)治療が奏効し6),抗IL-5治療(メポリズマブ)は,ステロイド減量と血管炎の再燃予防に効果的であり7)8),今後は重要な選択肢となるであろう。