原著
ヒト角膜上皮細胞に対するダニ抗原および塩化ベンザルコニウムの影響
佐々木恭正
1
,
加藤雅智
2
,
Jin-Zhong Zhang
3
1参天製薬株式会社 奈良研究開発センター 非臨床研究統括部 薬理グループ 研究員
2参天製薬株式会社 奈良研究開発センター 非臨床研究統括部 薬理グループ 主任研究員
3参天製薬株式会社 奈良研究開発センター 非臨床研究統括部 薬理グループ グループマネージャー
pp.1678-1684
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018071678
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通年性アレルギー性結膜炎の代表的抗原である,ダニ抗原および点眼液中に防腐剤として含まれる塩化ベンザルコニウム(BAK)が,ヒト角膜上皮細胞に対しどのような影響を与えるかを,SV40不死化ヒト角膜上皮細胞(HCE-T)を用いて検討した。その結果,ダニ抗原は,抗原中のプロテアーゼ活性によりHCE-Tを障害し,ダニ抗原とBAKの両処置は,BAK単独またはダニ抗原単独処置より,有意に高い障害性を示した。同様の障害は,BAKを配合する点眼液処置でも確認されたことから,ダニ抗原が主要因で起こる通年性アレルギー性結膜炎の治療に際しては,点眼液中のBAKの有無に注意する必要があると考えられた。