連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈73〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 結核,過剰治療,五積散,CYP2C9,緑茶,食事
Keyword:
● 結核,過剰治療,五積散,CYP2C9,緑茶,食事
pp.1286-1292
発行日 2018年5月1日
Published Date 2018/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018051286
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.台湾の健康保険データベースを用いた後向きコホート研究において,2型糖尿病のため主にスルホニルウレア薬を服用していた群と比較して,主にメトホルミンを服用していた群では結核のリスクが低かったことが報告されている。
2.オランダの診療録データを用いた後向き研究において,薬物治療を受けている2型糖尿病患者の4割前後でHbA1cが目標域を下回っており,過剰治療となっていることが示唆されている。 3.健康成人を対象とした試験において,セレコキシブを単独投与した場合と比較して,五積散(ごしゃくさん)と併用した場合にセレコキシブの血漿中濃度が軽度に低下したことが報告されている。 4.健康成人を対象とした試験において,タクロリムスを単独投与した場合と比較して,ミコフェノール酸 モフェチルと併用した場合に,タクロリムスの血漿中濃度が軽度に上昇したことが報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,フルバスタチンを水で投与した場合と比較して,緑茶または緑茶抽出物と併用した場合に,フルバスタチンの血漿中濃度に影響は認められなかったことが報告されている。 6.健康成人を対象とした試験において,エルビテグラビルを含む配合剤を高タンパク栄養飲料摂取後に投与した場合と比較して,牛乳摂取後に投与した場合の血漿中濃度の低下は軽度であったことが報告されている。