第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
統合失調症治療薬
大久保雅則
1
1水口病院薬局・薬局長/ 滋賀医科大学精神医学講座・非常勤講師
pp.471-480
発行日 2017年1月31日
Published Date 2017/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201713471
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統合失調症の疾患特性として,病態失認(自らの障害に対する病識や自覚の欠如)による治療動機育成の課題,副作用や用法・用量など種々の問題から服薬継続性が低下することがある。近年,持効性注射製剤の適応がアドヒアランスの面から推奨され始めているが,剤形面での工夫や,有効性が高く副作用の少ない新たな薬剤の開発が求められている。 2016 年に新たに承認されたアセナピンは,舌下錠というこれまでの抗精神病薬とは異なるユニークな剤形であるものの,経口投与時にはバイオアベイラビリティ(BA)が2%以下となることから,その適応においては患者の使用方法における十分な理解が前提として求められる。本稿では,新規非定型抗精神病薬であるアセナピンの概要を解説する。