特集 新しい医療を拓くメカノバイオロジー
10.運動は本当に健康に良いのか?
眞鍋康子
1
,
藤井宣晴
2
1首都大学東京 人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域 准教授
2首都大学東京 人間健康科学研究科 ヘルスプロモーションサイエンス学域 教授
pp.1483-1487
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201706111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
これまで運動が健康に良いことは経験的に語られてきたが,最近の大規模な疫学調査では,運動が我々の予想以上に多様な健康への恩恵効果を有することを明確に示している。一方で,運動がどのようなメカニズムにより健康をもたらすのかに関しては,ほとんど明らかにされていない。運動時に主として働く器官は骨格筋である。体重の約40~ 50%を占める大きな器官であり,「収縮する」という特殊な性質を持つことから,骨格筋はメカノバイオロジーの世界で注目されてきた。最近の研究により,骨格筋の物理的収縮が単に「動き」を生むだけでなく,我々の健康を維持・促進するメカニズムの一つとして重要であることが明らかになってきた。本稿では,運動による健康への恩恵効果について概説する。