連載 薬剤師による処方設計(53)
終末期がん患者の倦怠感治療におけるベタメタゾンの効果的な投与開始時期と投与指標に関する探索的研究
小山菜々子
1
,
松村千佳子
1
,
森井博朗
3
,
長谷川千晶
3
,
寺田智祐
4
,
矢野義孝
2
1京都薬科大学臨床薬学教育研究センター
2京都薬科大学臨床薬学教育研究センター 教授
3滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部
4滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 教授/薬剤部長
pp.703-708
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201702143
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臨床現場において,終末期がん患者の50~ 99%に出現する倦怠感症状を緩和する目的でコルチコステロイドが使用されているが,標準的治療法は未だ確立されていない。本研究では,ベタメタゾンを投与した終末期がん患者を対象に最適な投与開始時期を検討し,投与判断基準としての予後栄養指数(Prognostic Nutritional Index:PNI)の臨床的有用性を評価するために後ろ向き調査を実施した。投与期間全体の倦怠感軽減率は予後42日(6週間)時点で約50%であり,生命予後が短くなるほど低下した。また平均PNIは生存期間と有意な相関があり,投与指標として有用であることが示唆された。本結果をもとに,患者個々の生命予後を考慮した適切なステロイド治療が期待される。