連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈77〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 抗コリン,性ホルモン,体重増加,CYP1A2,CYP2C8,OATP1B1
Keyword:
● 抗コリン,性ホルモン,体重増加,CYP1A2,CYP2C8,OATP1B1
pp.2094-2101
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018092094
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.英国の医療情報データベースを用いた症例対照研究において,抗コリン作用薬の処方と認知症発症との関連が,特に抗うつ薬,抗パーキンソン病薬,泌尿器系薬において認められたことが報告されている。 2.種々の解析方法を用いた生体内の代謝産物の網羅的な解析が行われ,アセトアミノフェン服用者では性ホルモンの硫酸抱合代謝物が低下していたことが報告されている。 3.英国の医療情報データベースを用いたコホート研究において,抗うつ薬の使用と体重増加との関連が認められ,正常体重から過体重/肥満になるリスクだけでなく,過体重から肥満になるリスクも高かったことが報告されている。 4.健康成人を対象とした試験において,フルボキサミン併用でポマリドミドのAUC(血中濃度−時間曲線下面積)は2.25倍に上昇し,喫煙者では非喫煙者よりもポマリドミドのAUCは0.68倍に低下したことが報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,アメナメビル併用によりモンテルカストの血漿中濃度が軽度に増加したことが報告されている。 6.健康成人を対象とした試験において,イルベサルタン併用によりレパグリニドの血漿中濃度が上昇し,血糖降下作用は増大したことが報告されている。