連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (44)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● 後腹膜血腫,CYP2D6 阻害,薬剤性糖尿病,CYP3A4 阻害,骨折リスク
Keyword:
● 後腹膜血腫,CYP2D6 阻害,薬剤性糖尿病,CYP3A4 阻害,骨折リスク
pp.2656-2661
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201511168
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.冠動脈疾患のためクロピドグレルを服用していた患者において,服用開始3カ月後に腹痛と悪心を伴う後腹膜血腫を呈し,中止により改善した症例が報告されている。 2.健康成人を対象とした試験において,パロキセチン併用により 0.5%チモロール点眼後の血漿中チモロール濃度が上昇し,心拍数が低下したことが報告されている。 3.口腔扁平苔癬のためデキサメタゾン口腔軟膏を使用していた患者において,使用開始5カ月後に口渇と多尿が現れ,糖尿病を発症し,中止により改善した症例が報告されている。 4.米国の医療情報データベースを用いた後向きコホート研究において,第二世代抗精神病薬を投与された 10~ 18歳の患者では糖尿病発症のリスクが上昇することが報告されている。 5.固形癌患者を対象とした試験において,パゾパニブの併用によりドセタキセルのクリアランスが低下し,AUC(血中濃度?時間曲線下面積)が上昇したことが報告されている。 6.カナダの医療情報データベースを用いた後向きコホート研究において,カルシウム拮抗薬を継続服用中の高齢者では,シプロフロキサシン併用とアジスロマイシン併用との間で骨折リスクに差はなかったことが報告されている。