特集 移行期医療~小児期から成人期への円滑な橋渡しを目指して~
2.先天性心疾患
丹羽公一郎
1
1聖路加国際病院 心血管センター・特別顧問
pp.63-67
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201701063
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成人先天性心疾患は,後期合併症としての心不全,不整脈,再手術や心理社会的問題,心臓病以外の合併症治療などの成人期の問題点を認め,生涯にわたる経過観察を必要とする。成人先天性心疾患の専門診療施設としては,小児専門の診療体制は不適当で,成人に向く診療施設で成人先天性心疾患を専門とする医師を中心とした多職種との共同診療を必要とする。患者が成人する過程で自立するために,自身の病気の理解と移行診療体制の充実が必要である。先天性心疾患患者の自立を進めるためには,移行診療を円滑に行うとともに,社会保障制度を充実させることが必要である。医療側,患者側,行政側を含め,解決すべき問題は少なくない。