連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(54)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 猫ひっかき病,代謝酵素誘導,ノニジュース,心室性不整脈,高齢者,セロトニン症候群
Keyword:
● 猫ひっかき病,代謝酵素誘導,ノニジュース,心室性不整脈,高齢者,セロトニン症候群
pp.2348-2353
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201610152
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.インフリキシマブを投与されていた患者において,野良猫にひっかかれた後にリンパ節腫大など,猫ひっかき病を呈した症例が報告されている。 2.健康成人を対象とした試験において,ロピナビル・リトナビル配合剤の併用によりキニーネの血漿中濃度が顕著に低下することが報告されている。 3.ノニジュースを愛飲していたてんかん患者が,ジュース摂取量を増やすとフェニトイン濃度が顕著に低下し,ジュース摂取を中断するとフェニトイン濃度が上昇し,運動失調などを認めた症例が報告されている。 4.台湾の健康保険データベースを用いたケース・クロスオーバー研究において,ドンペリドン経口剤による心室性不整脈のリスク上昇が認められ,CYP(チトクロムP450)3A4 阻害薬の併用がそのリスクを増強する可能性が示唆されている。 5.本邦の在宅訪問を行っている薬局を対象とした調査が行われ,高齢者に不適切な薬物の処方や,それによる有害事象の概要などが報告されている。 6.フランスの市販後医薬品安全性監視データベースを用いた調査が行われ,セロトニン症候群の報告における被疑薬の概要や相互作用の可能性などが報告されている。