連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わりPART II .服薬指導と病棟活動(108)
乳癌における皮膚浸潤に対し亜鉛華デンプン外用法を使用した3症例
霜倉智子
1
,
多田章二
2
,
坪野ますみ
3
,
水田誠
4
1公立豊岡病院組合立豊岡病院薬剤部
2公立豊岡病院組合立豊岡病院薬剤部 薬剤部長
3公立豊岡病院組合立豊岡病院看護部
4公立豊岡病院組合立豊岡病院乳腺外科・部長
pp.2343-2347
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201610147
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癌による皮膚浸潤を呈した症例では,浸出液や悪臭・疼痛により著しく患者のQOL(quality of life)は低下する。これまでは主にMohs軟膏・メトロニダゾールゲルを使用し,症状緩和を図ってきた。しかし,これらは使用時に疼痛が見られたり,正常皮膚へ付着した場合は潰瘍を形成するなどの問題点があった。我々は,これらの問題点を改善した方法であると報告されている亜鉛華デンプンを,乳癌皮膚転移3症例に使用した。亜鉛華デンプンは,薬剤部での特別な調製は必要なく,自宅での自己散布も可能であった。いずれの症例においても,疼痛や潰瘍などの悪影響は無く,著明な浸出液の減少が認められた。また,ガーゼ交換の際に容易に水で洗い流すことができ,患部を清潔に保持できた。全症例で患者満足度は高く,QOL向上に寄与していた。