特集 PK/PDに基づく薬物療法と新薬開発の最前線
3.循環器病薬のPK/PDとTDM
志賀剛
1
1東京女子医科大学循環器内科・准教授
pp.1653-1656
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201607063
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循環器病薬は強力な薬理作用を有している反面,重篤な副作用もあり,その安全域は狭い。特にジゴキシンや抗不整脈薬については,古くから薬物動態とその効果に関する検討が行われ,薬物血中濃度モニタリングを臨床に応用してきた歴史がある。ジゴキシンの血中濃度測定はジギタリス中毒を大幅に減らし,大きな貢献を果たした。しかし,循環器領域でPK/PD(pharmacokinetics/pharmacodynamics)を検討する上で難しいのがPDとなる効果の判断である。一方,標的とした臨床効果は異なっても血中濃度依存性の副作用については同じ指標で評価することが可能となる。そこに安全性の面での役割がある。「循環器薬の薬物血中濃度モニタリングに関するガイドライン」では安全性に主眼をおいて,その臨床応用を示した。