連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(49)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 認知障害,不随意運動,高アンモニア血症,CYP2C9,OCT
Keyword:
● 認知障害,不随意運動,高アンモニア血症,CYP2C9,OCT
pp.1334-1339
発行日 2016年5月1日
Published Date 2016/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201605152
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.脳卒中予防のためダビガトランを服用していた心房細動患者において,投与開始直後から短期記憶障害などの軽度認知障害が発現し,徐々に悪化した症例が報告されている。 2.リバスチグミン貼付剤を使用していた認知症患者において,高用量へ増量後に不随意運動が発現し,中止により改善,再投与により再発した症例が報告されている。 3.本邦のてんかんセンターでの調査において,バルプロ酸服用患者における高アンモニア血症の発現率は年々減少しており,併用抗てんかん薬の変化による可能性が示唆されている。 4.子宮頸癌患者を対象とした臨床試験の解析において,重度の副作用の発現と化学療法開始前の患者のQOL(quality of life)との関連が報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,レスベラトロールの併用によりジクロフェナクの血漿中濃度が上昇し,CYP(チトクロムP450)2C9 を介した相互作用の可能性が示唆されている。 6.英国の医療情報データベースを用いたコホート研究において,メトホルミンの効果(HbA1c,随時血糖値)にプロトンポンプ阻害薬の併用は影響を及ぼさないことが報告されている。