連載 リスクマネジメント~院内での薬剤師の活動~(105)
抗精神病薬・抗うつ薬の副作用情報のSOM を用いたビジュアル化と解析
川上準子
2
,
熊谷優
4
,
田口瑞季
1
,
林誠一郎
5
,
佐藤憲一
3
1東北薬科大学医薬情報科学研究室(情報科学センター)
2東北薬科大学医薬情報科学研究室(情報科学センター) 講師
3東北薬科大学医薬情報科学研究室(情報科学センター) 教授
4秋田大学医学部附属病院薬剤部
5明治薬科大学理事
pp.902-917
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603902
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多数の同効薬全体の副作用情報をビジュアル化することによって,医薬品同士の比較も含め,短時間に見通し良く,多くの情報が得られるようになる。その有力な方法に,多次元情報の可視化に適したデータマイニング手法の一つである「自己組織化マップ(SOM)」がある。 今回,医療現場でよく使用される抗精神病薬・抗うつ薬79剤を対象に,副作用の添付文書情報をビジュアル化した。抗精神病薬・抗うつ薬は副作用が多いため,副作用情報全体の網羅的な把握や個々の副作用情報の特徴把握,新たな副作用発現の予測なども重要である。また,抗精神病薬・抗うつ薬は怠薬にもつながりやすいことから,効果的な治療を継続するためにも,その原因となりやすい副作用についての適切な評価が必要となる。 SOM を用いた副作用発現情報により,全体的な発現傾向の確認や発現予測の検証を行った。現場では,最初にこれらのビジュアルな情報を大まかに把握し,絞り込んだ必要な情報を添付文書やインタビューフォーム,文献で詳細に調べるようにすれば,効率的に副作用対策等が立てられるであろう。膨大な副作用情報のポータル(入り口)として医療現場でうまく活用していけば,医療従事者の負担を軽くする一助となるだけでなく,患者へのより良い医療の提供につながるものと期待できる。