Japanese
English
短報
抗精神病薬の副作用として生じる分裂病的精神症状について
Antipsychotics-induced Schizophrenia-like Symptoms
坂本 暢典
1
,
高森 宏
2
,
天羽 裕二
3
,
岩橋 正人
1
,
副島 清史
4
Nobumichi Sakamoto
1
,
Hiroshi Takamori
2
,
Yuji Amo
3
,
Masato Iwahashi
1
,
Kiyofumi Soejima
4
1北野病院神経精神科
2森病院
3天羽医院
4大阪市立大学医学部神経精神科
1Department of Neuropsychiatry, Kitano Hospital
2Mori Hospital
3Amo Clinic
4Department of Neuropsychiatry, School of Medicine, Osaka City University
pp.753-756
発行日 1991年7月15日
Published Date 1991/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903081
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精神分裂病に対する第一選択の治療は,抗精神病薬による薬物療法であり,今日の日常臨床においては,分裂病患者のほぼ全員が,抗精神病薬の投与を受けている。また,分裂病においては薬物の維持療法が必要とされており,抗精神病薬の投与は,長期にわたるものとなる場合が多い。
その一方で,抗精神病薬の副作用として,内因性分裂病症状との鑑別が困難な精神症状が生じることが報告されている。例えば,「悪性症候群」と緊張病性昏迷の鑑別診断の困難さは有名である。また,「paradox反応」1)ないしは「akathisia」7),「亜急性抑うつ反応」5),「akinesia」3),「tardiveakathisia」2),「挿話性病理現象」6)などの場合にも,これらの抗精神病薬による精神症状と内因性分裂病症状の類似性は高く,鑑別診断は困難である(表)。また「paradox反応」ないしは「akathisia」によって,自殺や殺人すら生じうることも報告されている4)。
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