第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
睡眠薬
橋爪祐二
1
1久留米大学神経精神医学講座・准教授
pp.524-529
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513524
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睡眠障害は日本国民の5人に1人の割合で見られると言われている。睡眠障害の中でも頻度の高い不眠症の有病率は,全国無作為抽出した3,030人の調査によれば,男性22.3%,女性20.5%であったと報告されている1)。また,全国無作為抽出1,871人を対象にした調査では,男性17.3%,女性21.5%であったと報告されている。米国においても,不眠症の頻度は一般人口の約25~ 35%に見られると報告されている2)。不眠症は,入眠困難,熟眠障害,中途覚醒や早朝覚醒などの睡眠の質の低下とともに,日中の倦怠感,焦燥感,仕事や学習での集中力の低下や遂行能力の低下などの認知機能の低下をもたらす。不眠症は日常の診療において最も見られるものであり,わが国では薬物療法としてベンゾジアゼピン系を主とした処方が中心となっている。また,統合失調症や双極性障害の治療薬についても新規非定型抗精神病薬を主剤とした治療に変化してきている。今回,新しく発売される従来とは異なった睡眠薬と治験中の睡眠薬を中心とした報告を行う。