第 II 部 注目の新薬
〔アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出治療剤〕「サビーン®点滴静注用500mg」
笹田伸介
1
,
田村 研治
2
1国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科
2国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科 科長
2国立がん研究センター中央病院先端医療科・医長/通院治療センター・センター長
pp.291-297
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513291
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デクスラゾキサン(サビーン®)は,トポイソメラーゼII阻害作用により,アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出による皮膚障害を抑制する,わが国では唯一の保険収載された薬剤である。抗悪性腫瘍剤の血管外漏出は,いったん潰瘍形成などの皮膚障害を起こすと,患者のquality of lifeを低下させるのみならず,治療の延期を余儀なくされ,予後の悪化に影響する可能性がある重要な有害事象である。本剤は,アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出に対する重要な支持療法として期待されるため,効能や注意事項,動物実験および臨床試験の成績を解説する。