トピックス
中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)のウイルス検査
白戸 憲也
1
,
松山 州徳
1
1国立感染症研究所ウイルス第三部
pp.1267-1270
発行日 2013年12月1日
Published Date 2013/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543104128
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はじめに
中東呼吸器症候群コロナウイルス(middle east respiratory syndrome-coronavirus,MERS-CoV)による感染症は2012年4月以来,これまでに中東を中心に8カ国で94例の確定症例が報告され,うち46例で患者が死亡している(2013年8月5日現在)1).ヒトに重篤な致死性疾患を引き起こすコロナウイルスの発生は,2002年から2003年にかけて流行し,全世界で8,098名の患者と774名の死者を出した重症急性呼吸器症候群(severe acute respiratory syndrome,SARS)以来である2).MERS-CoVは高い致死率を示しているが,発生は散発的で,ヒトからヒトの感染も家族や医療関係者などの濃厚接触者に限定的であり,SARSのような大流行はいまだみられていない.しかし,SARSの教訓を踏まえて,世界保健機関(World Health Organization,WHO)が早期に注意喚起を行い,感染の拡大を封じ込める努力を行っている.日本国内での感染者の報告はない.
本稿では,MERS-CoVの発生状況,およびウイルス検査方法について述べる.
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