特集 感染症の新たな脅威
中東呼吸器症候群—Middle East Respiratory Syndrome;MERS
松山 州徳
1
1国立感染症研究所 ウイルス第三部第四室
pp.463-466
発行日 2015年7月15日
Published Date 2015/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208218
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中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスは重症の肺炎を引き起こす病原体である.このウイルスに感染した最初の例は,2012年3月のヨルダンの病院内集団発生に確認できる.その後3年が経過したが,サウジアラビアとその周辺国で発生し続けており,現在(2015年4月末)までに1,123人の感染と463人の死亡が報告された.ヨーロッパ,アフリカ,アジア,アメリカでも数例が見つかっているが,いずれの感染者も中東地域へ渡航歴のある者,もしくはその接触者であった(図1).今のところこのウイルスがアラビア半島を出て世界に蔓延する様子はなく,一部の地域だけで流行している.
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