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特集 感染症インテリジェンス -世界と日本の感染症情報を活用する-
各論 4.中東呼吸器症候群
Middle East respiratory syndrome(MERS)
加來浩器
1
Kaku Koki
1
1防衛医科大学校防衛医学研究センター広域感染症疫学・制御研究部門 教授
キーワード:
中東呼吸器症候群
,
コロナウイルス
,
疑似症患者
,
経験的な症候群別感染対策
Keyword:
中東呼吸器症候群
,
コロナウイルス
,
疑似症患者
,
経験的な症候群別感染対策
pp.89-99
発行日 2017年8月25日
Published Date 2017/8/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201709089
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2012年に突如として出現した中東呼吸器症候群(MERS)は,MERS-CoV(MERSコロナウイルス)に感染したヒトコブラクダやヒトとの接触により感染する。2015年の韓国でのアウトブレイクでは1名の輸入例を契機に院内感染が発生し,政治的・社会的・経済的な混乱が発生した。わが国は疑似症の症例定義に応じて,行政検査,入院などの対応要領を定めている。また,中東の一部の国から入国/帰国したヒトでMERSに感染した疑いがある場合には,症状がある場合には検疫所で検査を行うほか,無症状者には14日間の健康監視を行っている。MERSの症状は非特異的で軽症な場合も多いことから,医療施設では標準予防策の徹底に加えて,経験的な症候群別感染対策を追加して実施すべきである。