小特集 マクロライドの治療効果をめぐる30年の歩み
4.耳鼻咽喉科臨床でのマクロライドの使われ方
清水猛史
1
1滋賀医科大学耳鼻咽喉科学教室・教授
pp.959-963
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503959
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耳鼻咽喉科領域において,14員環マクロライドの少量長期投与(マクロライド療法)は慢性副鼻腔炎に対する標準的な薬物療法として確立され,広く用いられている。マクロライド療法は,気道粘液の分泌抑制やサイトカイン・ケモカイン産生抑制,炎症細胞機能の調節,バイオフィルム形成やquorum sensingといった細菌機能の制御など,種々の免疫調節作用により,炎症の遷延化・慢性化を抑制する。しかし好酸球性副鼻腔炎など,マクロライド療法の効果が期待できない症例もあり,病態に応じて適切に使用する必要がある。耳鼻咽喉科領域では鼻処置やネブライザー,手術療法などの外科的処置も重要で,マクロライド療法のみに頼ることなく,症例に応じて手術療法を含む最適な治療法を選択することが求められる。