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耳鼻咽喉科領域におけるマクロライド療法を再検証する
Reexamination of macrolide therapy in otolaryngology
飯野 ゆき子
1
Yukiko Iino
1
1自治医科大学附属さいたま医療センター耳鼻咽喉科
pp.513-520
発行日 2009年7月20日
Published Date 2009/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101458
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Ⅰ はじめに
1984年,工藤ら1)によって14員環マクロライド薬の少量長期療法(マクロライド療法)のびまん性汎気管支炎に対する有効性が初めて報告された。引き続いて1990年に洲崎ら2)はびまん性汎気管支炎に合併した慢性副鼻腔炎にもマクロライド療法が有効であることを報告し,その後下気道病変の合併のない慢性副鼻腔炎に対して有効であるとする報告が相次いだ3~5)。1993年,筆者らは滲出性中耳炎に対してもマクロライド療法が有効であることを報告した6)。現在ではマクロライド療法は耳鼻咽喉科診療において確立した治療法の1つとしての地位を築いている。
このマクロライド療法が耳鼻咽喉科疾患に対して施行されるようになってから20年近く経過しようとしている現在,マクロライド耐性を含む種々の薬剤耐性菌の出現が問題になってきている。また好酸球性副鼻腔炎や好酸球性中耳炎といったあらたな疾患概念も明らかとなり,副鼻腔炎や滲出性中耳炎疾患そのものの多因性も指摘されている。一方,マクロライド薬の抗菌薬以外の細菌に対する作用や宿主側に対する新たな薬理作用も次々と報告されているのが現況である。
このような流れから,この耳鼻咽喉科領域におけるマクロライド療法を改めて検証する必要が生じてきた。本稿では最新のマクロライド療法の臨床効果およびマクロライド薬の新作用に関しての文献を紹介するとともに,このマクロライド療法を慢性副鼻腔炎および滲出性中耳炎にどのように適応するかを述べてみたい。
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