Japanese
English
綜説
マクロライドの基礎と臨床
Basic and Clinical Research for Macrolide
吾妻 安良太
Arata Azuma
pp.603-612
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404100067
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
マクロライド療法は1970年代にびまん性汎細気管支炎(DPB)の生命予後を劇的に改善した治療法である.今なお作用メカニズムは不明な点を残すが,少なくとも抗菌作用とは別の作用が働いている.欧米中心の医薬品開発において,本療法はわが国から発信された希少な臨床効果である.それはびまん性汎細気管支炎がわが国固有な気道疾患であるためでもあったが,現在では欧米特有な嚢胞性線維症に対しても試みられ,慢性気道炎症に対する標準的治療法といっても過言ではない.一方,本来抗生物質であるマクロライドの長期投与に伴い消化器症状,肝障害,不整脈,薬剤相互作用,耐性菌の出現などの問題が指摘されている.目的とする薬効を明確にし,副作用のない新たな医薬品開発につなげる動きも始まっている.
本稿ではマクロライド療法の臨床応用の現状と今後の方向性,またメカニズム解明の経過について紹介する.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.