小特集 マクロライドの治療効果をめぐる30年の歩み
3.呼吸器科臨床でのマクロライドの使われ方
滝澤始
1
1杏林大学医学部第一内科学教室・教授
pp.954-958
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503954
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マクロライド療法は,幅広い細菌に対する抗菌活性に加えて,緑膿菌の感染成立とバイオフィルム形成を抑制する作用,好中球性炎症に対する抗炎症作用などの新作用により,さまざまな呼吸器疾患の治療に応用されている。副鼻腔気管支症候群に対しては,びまん性汎細気管支炎や欧米での嚢胞性線維症への治療が確立しており,ほかに原発性線毛機能不全症などの稀少疾患に有効との報告もある。さらに,より広い患者層が対象となる慢性閉塞性肺疾患における増悪抑制効果も認められている。重篤化した好中球性喘息や市中肺炎の治療においては,非定型病原体に対する抗菌作用に加えて,気道中の好中球減少や喀痰量減少によるQOL(quality of life)および生命予後の改善などの効果が期待される。