小特集 マクロライドの治療効果をめぐる30年の歩み
1.慢性気道炎症に対するマクロライドの作用機序
門田淳一
1
1大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座・教授
pp.942-947
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503942
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マクロライドは,細菌に対する直接的な抗菌活性以外に慢性気道炎症に対する抗炎症作用を有しており,びまん性汎細気管支炎(DPB)をはじめとする,さまざまな疾患の治療に用いられている。マクロライド療法による気道中の好中球減少には,好中球走化因子であるインターロイキン(interleukin:IL)-8の抑制,細胞間接着分子Mac-1(macrophage-1 antigen)の抑制などの機序が関連する。さらに,マクロライドはリンパ球に対するアポトーシス誘導や,樹状細胞に対する免疫抑制性への誘導,マクロファージによるIL-8産生抑制と貪食作用亢進など,免疫細胞に対するさまざまな影響が知られており,気道過分泌に対しても抑制作用を示す。マクロライドはこれらの機序を介して気道炎症を改善させる効果を持つ。