小特集 マクロライドの治療効果をめぐる30年の歩み
序:マクロライド療法の30年を振り返って
工藤翔二
1
1公益財団法人結核予防会理事長/日本医科大学名誉教授
pp.940-941
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503940
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マクロライドの抗菌活性以外の作用(新作用novel action)に関する研究の展開は,びまん性汎細気管支炎(diffuse panbronchiolitis:DPB)に対するエリスロマイシン少量長期療法(EM 療法)に始まる。DPBは日本をはじめアジア地域に集積する難治性の慢性気道感染症であり,かつてその予後は著しく劣悪なものであった。EM 療法は,たまたま我々が遭遇した1症例を端緒とするEM療法の発見(1984年)と,その後の二重盲検比較試験(厚労省研究班)等の検証を経て確立した。現在DPBの予後は5年生存率90%以上へと著しく改善している。