特集 最新の心房細動薬物治療
6.直接トロンビン阻害薬ダビガトラン
奥村謙
1
1弘前大学大学院医学研究科循環器腎臓内科学・教授
pp.917-922
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503917
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2011年に発売された直接トロンビン阻害薬ダビガトランは,最初の非ビタミンK拮抗性経口抗凝固薬(NOAC)で,非弁膜症性心房細動(AF)における心原性脳塞栓症の予防効果が期待されている。非弁膜症性AF患者を対象とし,有効性,安全性をワルファリンと比較したRE-LY試験(Randomized Evaluation of Long Term Anticoagulation Therapy)において,ダビガトラン(150mg×2回/日)はワルファリンに比して,大出血のリスクを高めることなく脳卒中/血栓塞栓症を有意に抑制した。一方,低用量(110mg×2回/日)は大出血のリスクを有意に低下させ,脳卒中/血栓塞栓症をワルファリンと同程度に抑制した。2用量の選択法として,出血リスクが低い例には150mg×2回/日が,高い例には110mg×2回/日が推奨される。これらの使い分けにより,安全かつ確実な脳塞栓症予防が可能となるだろう。