Japanese
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特集 抗凝固薬の新展開
経口抗トロンビン薬 ダビガトラン:どこまで使いこなせるようになったか
Oral Anti-thrombin Drug:How to Deal with it
山下 武志
1
Takeshi Yamashita
1
1(財)心臓血管研究所
1The Cardiovascular Institute Hospital
pp.417-422
発行日 2013年5月15日
Published Date 2013/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102213
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はじめに
心房細動で左心房に形成される血栓は,主に血流のうっ滞によって形成され,その形成を確実に抑制するには凝固カスケードを抑制する抗凝固薬が必要である.心房細動の脳梗塞予防に用いられる抗凝固薬は約50年間にわたり,ワルファリンのみがその役割を担っていた.しかし,ワルファリン療法には,定期的な血液凝固モニタリング,食物や薬剤との相互作用などといった制限があるために,本来適応となるべき患者でも適正に投与されていない場合がある.また,出血性合併症を恐れてINRのコントロールが低めに設定されたり,抗血小板薬で代用されていたりすることも少なくない.
このような状況において,より簡便にワルファリンと同等またはそれを上回る効果を有する抗凝固薬として第Ⅹa因子やトロンビンを阻害する薬剤の開発が進められていた.それらのなかで,最も先行して開発が進んでいた抗トロンビン薬であるダビガトランが,2011年3月から「非弁膜症性心房細動患者の虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制」を適応症として使用可能になった.本稿ではダビガトランの薬理作用から臨床成績に加え,日常臨床における位置づけや注意点について述べる.
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