特集 いま,内科薬はこう使う
循環器薬
直接的レニン阻害薬
市原 淳弘
1
1東京女子医科大学高血圧・内分泌内科
キーワード:
ラジレス
Keyword:
ラジレス
pp.44-46
発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106375
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レニンは,レニン-アンジオテンシン系の最上流に位置し系全体を調節する酵素である.340のアミノ酸で構成される糖蛋白であり,ペプシン,カテプシンD,キモシンなどが属するアスパラギン酸プロテアーゼ類に属す.すべてのアスパラギン酸プロテアーゼは図1で示すようにL字型蛋白が左右対称に向かい合い,その間に長く深い溝(cleft)を有する立体構造を有する.cleftの底部に2つのアスパラギン酸残基が存在し,それが蛋白分解酵素として作用してアンジオテンシノーゲン(AGT)のN末端から10番目のロイシンと11番目のバリンのアミノ酸結合を切断し10個のアミノ酸であるアンジオテンシンⅠを産生する.このAGTからアンジオテンシンⅠを産生する現象を「レニン活性」と呼び,レニンはほかのアスパラギン酸プロテアーゼ類酵素に比べ10万倍強い「レニン活性」を有する.AGTがレニンのcleftに侵入するのを防ぐように43個のアミノ酸から構成されるプロセグメントがレニン骨格に付随したものがプロレニンであり,そのままでは「レニン活性」を有さない.しかし,プロレニンが組織に存在する(プロ)レニン受容体に結合すると,プロレニンに立体構造変化が起こり,プロセグメントはcleftから離れてAGTがcleft内に侵入可能となる.つまり,(プロ)レニン受容体結合プロレニンは「レニン活性」を発揮する.直接的レニン阻害薬は,「レニン活性」を阻害することによって血圧を下げる降圧薬であり,ここではその使い方について述べる.
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