特集 最新の心房細動薬物治療
4.Up-stream 治療の位置付け
熊谷浩一郎
1
1福岡山王病院ハートリズムセンター・センター長/国際医療福祉大学大学院・教授
pp.903-908
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201503903
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Up-stream 治療で最も効果が得られそうな患者集団として,新規発症の心不全患者と,レニン-アンジオテンシン系(RAS)の亢進している高血圧患者があげられる。動物実験で用いられたアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)の用量は,臨床で用いる通常量に比し,かなり高用量であり,心房の線維化を抑制するには,高用量かつ組織移行性が高い薬物が適している。アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)・ARBは,主として線維化を予防することにより,心房細動(AF)抑制効果を示すと考えられるため,線維化があまり進行していないうちに投与されるべきである。従って,up-stream 治療は,ARBの種類(線維化抑制作用が強い)や症例(線維化があまり進行していない)を選べば有効である可能性は残されている。